新しい取引先から問い合わせが来たとき、ワクワクする一方で、こう考えたことはありませんか?
「この会社、本当に信頼できるだろうか…」
製造業では、一度の取引金額が数百万円単位になることも珍しくありません。もし相手の信頼性を見極めずに契約すれば、納期遅延や未払い、品質不良といった深刻なリスクを抱える可能性があります。
実は私のいる映画・エンターテイメント業界でも、こうした信用確認=バックグラウンドチェックは欠かせません。肩書きや見た目だけでは本当の実力が分からず、虚構や誇張が日常的に飛び交う世界だからです。
騙された方が悪い? 嘘が蔓延るエンタメの世界
映画業界では「◯◯国際映画祭入賞」など華やかな肩書きが並んでいても、実際は地元の公民館レベルで小規模に開催されていたり、誰でも応募すれば入選できる場合があります。
さらに、他人の作品を自分のポートフォリオとして提出してくるケースも珍しくありません。
だからこそ、この業界では「信用できるかどうかは相手に委ねず、自分で裏を取る」のが鉄則です。過去に一緒に仕事をした人に直接連絡を取り、2名以上から評判を聞く“リファレンスチェック”が当たり前に行われています。
製造業でも同じ発想が必要です。見た目や肩書きだけで判断せず、必ず実態を確認しましょう。
実在確認の基本
まずは、その会社が本当に存在しているかを確認します。
インターネットと少しの時間があれば無料でできることが多く、相手に気づかれずに調べることも可能です。
・法人番号公表サイトや登記簿で正式登録の有無、所在地、代表者を確認
・住所をGoogleマップで検索し、工場や事務所の実在を目視でチェック
・バーチャルオフィスやレンタルオフィス登録の場合は要注意
・WHOIS検索でドメイン所有者情報を確認(法人名義かどうか)
・固定電話の有無や、電話応対の態度も信頼度の判断材料
実績の真偽を見抜く
華やかな実績ほど、真偽の確認が重要です。
事例写真をGoogle画像検索にかけ、他社流用でないかチェック
記載されている取引先に直接「実際に依頼したのか」を確認
展示会出展や業界誌掲載は日付と継続性を確認
有名人との写真や関係のない受賞歴で実績を誇張していないかも注意
なりすまし防止のチェック
実在企業を装った詐欺は少なくありません。
メール送信ドメインと公式サイトのドメインが一致しているか確認
SNSやプレスリリースと照合し、内容に矛盾がないか確認
代表者・担当者の氏名で経歴や評判を検索
経営状況・取引姿勢の確認
実在しても、経営や運営が不安定では取引リスクがあります。
帝国データバンクや東京商工リサーチの信用調査を利用
業界内ネットワークから支払い遅延やトラブルの有無をヒアリング
少額・短納期の試験発注で対応品質を見極める
“国際感”に惑わされない
「海外取引あり」「国際展示会出展」などは響きが良いですが、実態確認が必須です。
海外展示会・コンテストの公式サイトで開催実績・条件を確認
誰でも応募できるコンペや自己申告の受賞歴は慎重に評価
※中には、高額な審査料や商標使用料を払えばほぼ確実に賞を得られるものもあります。これ自体が悪いわけではなく、資金力やブランディング戦略の一部として理解した上で評価することが大切です。
映画業界流・リファレンスチェック
製造業でも、過去取引先からの「実際の対応はどうだったか」という生の声は有効です。現場によって規模や内容が大きく異なる映画業界では初めて一緒に仕事する方が非常に多く、この業界ではスタンダードになっているので、そういう問い合わせが来ても、持ちつ持たれつだし、ということで当然が如く対応します。ただ、知っている会社ならまだしも、知らない会社に突然、「貴社と過去に取引のあった〇〇会社さんと新しく取引を考えているのですが、その時の様子はどうでした?」なんてなかなか普通の業界は聞きにくいですよね。
モノコンではこの映画業界のシステムを採用し、掲載には必ず取引先などからの推薦が2件以上必要。さらに取材時に現場確認を行い、実態を正しく掲載する体制を取っています。これは企業データベースに作るにはとても非効率的な様に思えますが、とても大事なことだと私たちは判断しています。「私たちが実際に見て確かめた正しい情報を全世界の皆様にお届けする」なので、今は取材が可能な新潟エリアに限定されてしまいますが、少しずつ拡大していこうと考えています。
まとめ
今回のチェック方法は、特別なスキルや費用をかけずにできる自己防衛策です。
同時に、「あなた自身もこうしてチェックされている」可能性があることも忘れてはいけません。
相手を見極めるだけでなく、自社の信用度を定期的に見直し、誰が見ても安心できる情報発信を行いましょう。
信用は積み上げるのに時間がかかりますが、失うのは一瞬です。日々の透明性が最大のリスク回避策です。
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